アクリル製品の静電気対策
帯電防止剤の選び方と活用方法

アクリル加工現場における静電気の問題

アクリル(PMMA)は光学性・加工性に優れる一方、高い絶縁性摩擦帯電性を持つため、加工・搬送・組立の各工程で静電気トラブルが頻発します。

代表的な現場課題は以下の通りです。

  • 加工後の表面への粉塵付着
     切削・研磨粉や環境中の微粒子が帯電により吸着し、外観不良の原因となる。
  • 保護フィルム貼付時の異物混入
     フィルム剥離時の帯電でほこりを引き寄せ、貼り込み後に混入物が発見される。
  • 印刷・塗装工程での不良
     帯電によるパーティクル付着で塗膜のピンホールや印刷不良が発生。
  • 自動搬送ラインでのトラブル
     静電気放電によるセンサー誤作動や電子部品への影響。

これらは歩留まり低下や再加工コスト増加を引き起こし、特に光学部品や意匠部品の生産では重大なロスとなります。

なぜアクリルは静電気を帯びやすいのか?

アクリルは絶縁性の高い樹脂であり、電気を通しにくい特性を持ちます。摩擦や接触によって表面に電子が移動すると、その電荷が逃げずに表面に蓄積されます。これが静電気です。

主な原因は以下の通りです。

  • 摩擦帯電
     布や紙、他の樹脂と擦れることで電子が移動。
  • 低湿度環境
     湿度が低いと空気中の水分が少なく、電荷が放電しにくくなる。
  • 絶縁性の高さ
     アクリルは電気抵抗が高く、帯びた電荷が長時間残留。

従来の静電気対策の課題

静電気対策としては、アース設置、イオナイザー、帯電防止フィルムなどが一般的ですが、現場では以下の課題が残ります。

  • 設備投資コストが高い(イオナイザーや除電ブロワー)
  • 大物・非定形部品への対応が困難
  • 既存製品や完成品には施工できない(添加型樹脂)
  • 作業エリア限定でしか効果が得られない

そのため、柔軟かつ低コストで導入できる方法が求められています。

帯電防止剤の基本原理

帯電防止剤は、アクリル表面に導電性の薄い膜を形成し、表面抵抗を下げることで電荷を逃がします。種類は大きく分けて以下の2つです。

① 塗布型(表面処理)

  • 使用方法:スプレーやワイピングで塗布。
  • 特長:施工が簡単、完成品や加工途中のワーク表面に直接塗布が可能。
  • デメリット:添加型と比較して、耐久性が落ちる。

② 添加型(練り込み)

  • 使用方法:アクリル樹脂に帯電防止剤を混合して成形。
  • 特長:耐久性が高く、長期にわたって効果が持続。
  • デメリット:既存製品には適用できない、透明性や機械強度への影響の可能性あり。

🔍 まとめ

アクリル成形・加工現場では、静電気による異物付着が歩留まり・品質・工数に直結します。
塗布型帯電防止剤は、

  • 設備投資不要
  • 即効性あり
  • 大物・変形品に対応可能

という現場メリットがあり、特に工程内での不良低減とコスト削減に有効です。

既存の静電気対策に加えて、「最後の一手」として導入することで、品質安定化に寄与します。


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