【静電気が原因?】
印刷不良の意外なトラブルとその対策方法とは

印刷現場の“見えない敵”——静電気

印刷業界における印刷不良は、生産効率を下げるだけでなく、納期遅延や品質低下など、ビジネスに大きな影響を与える問題です。
その中でも意外と見落とされがちな原因の一つが「静電気」です。

冬場の乾燥した時期はもちろん、通年を通して発生する静電気は、紙やフィルム、インクなどの印刷材料に悪影響を及ぼします。
本記事では、印刷不良と静電気の関係について詳しく解説し、発生メカニズム・具体的なトラブル事例・対策方法まで、印刷現場で役立つ情報をまとめてご紹介します。

印刷不良とは?|主な症状と影響

まず、印刷不良の代表的な症状を確認しておきましょう。以下のような不良が見られる場合、静電気が関与している可能性があります。

  • 色ムラ:インクの付き方が均一でない
  • 紙送りのズレ:紙が斜めに送られる、あるいは重送する
  • ゴミの付着:印刷面に小さな繊維やホコリが付着する
  • 重版や二重印刷:印刷が二重に見える
  • スミ抜け・色抜け:部分的に印刷されていない箇所がある

こうした印刷不良が起きる原因は多岐にわたりますが、その一因として見逃せないのが「静電気の帯電」です。

なぜ静電気が印刷不良を引き起こすのか?

■静電気とは?

静電気とは、物体の表面に正または負の電荷が偏って蓄積された状態のこと。摩擦や剥離、圧力などによって発生し、特に乾燥した環境で起こりやすい性質を持っています。

■印刷現場での静電気発生ポイント

印刷現場では、以下のような工程で静電気が発生します。

  • 紙の積み下ろしや搬送時
  • フィルムやラミネートの巻き取り・巻き戻し
  • シートの分離や高速印刷時
  • 樹脂ローラーとの接触・摩擦

このとき、素材が帯電したまま印刷工程に入ると、ホコリの吸着・搬送不良・インク飛散などの不具合を引き起こします。

静電気が引き起こす印刷不良の具体例

① 紙送り不良・多重送り

帯電によって紙同士が吸い寄せ合い、複数枚の紙が一度に給紙される「多重送り」が発生します。
結果として印刷位置がずれる、紙詰まりを起こすなど、重大なトラブルにつながります。

②ホコリやゴミの付着による印刷ムラ

帯電した紙やフィルムは空気中のホコリを引き寄せます。
このホコリが印刷面に付着すると、インクが乗らない部分=色抜け・白抜けを生じさせ、仕上がり品質を損ねます。

③インクの飛散やにじみ

印刷対象物とインクの間に静電気による反発や吸引力が働くと、インクの飛散やにじみが発生し、解像度や精細さが損なわれることも。

④ラミネート・後加工の不具合

静電気によってラミネートフィルムがうまく接着せず、気泡やしわが発生する原因となります。
また、カッティングや折り加工でも素材が貼り付いたまま送りにくくなるケースもあります。

静電気対策の重要性|生産効率と品質を守るために

印刷現場における静電気対策は、単なる「トラブル回避」にとどまりません。
生産性の向上・品質の安定・作業安全性の確保といった、現場の総合的なパフォーマンス向上に直結する施策です。

印刷現場でできる静電気対策

① 湿度管理の徹底(目安:50~60%)

乾燥した環境は静電気が発生しやすくなります。
加湿器を活用し、適正湿度を保つことで、静電気の発生を抑制できます。

② 帯電防止剤の使用

印刷材料(紙・フィルム)や機械部品に帯電防止剤を塗布することで、素材表面の電荷の蓄積を防ぐことが可能です。
特に界面活性剤ベースの帯電防止剤は、揮発性が低く、持続性にも優れています。

③ イオナイザー(除電装置)の設置

搬送ラインや給紙部、巻取り部などに静電気除去装置(イオナイザー)を設置することで、リアルタイムに電荷を中和。
広範囲かつ高速で除電できるため、高速印刷機には特に有効です。

④ 接地(アース)対策の見直し

機械や作業台が適切に接地(アース)されていないと、静電気が放電されずに蓄積されます。
定期的にアースの導通をチェックし、絶縁劣化がないかを確認しましょう。

⑤ 作業者の静電気対策

作業員が着用する静電気防止服・リストストラップ・帯電防止手袋の活用も重要です。
とくに手作業で素材に触れる工程では、人間の帯電によるトラブルを回避することができます。

界面活性剤が帯電防止に有効な理由

水分子を引き寄せやすい親水基を持つ
→ 素材表面に薄い導電性の膜を作り、電荷を逃がします。

素材表面に均一に広がりやすい
→ インクやラミネートに影響を与えにくく、微細な膜でも効果を発揮。

③持続性に優れている
→ 一度塗布するだけで、乾燥後も一定の帯電防止効果が持続します。

帯電防止剤を選ぶポイントとは?

帯電防止剤にはさまざまなタイプがありますが、印刷現場で使用する際は以下のポイントに注意しましょう。

  • 素材との相性(紙・PET・PPなど)
  • インクや塗布剤との化学的適合性
  • 乾燥後の残留物がないか
  • 長期的な帯電防止効果の持続性
  • 乾燥時間と作業性のバランス

特にフィルム印刷や包装資材への印刷などでは、印刷後の静電気による巻き取り不良・搬送不良が顕著になるため、適切な帯電防止処理は欠かせません。

静電気対策は「見えない品質管理」

印刷不良というと、用紙やインク、機械の調整といった「目に見える原因」ばかりに目が行きがちです。
しかし、静電気という“見えない敵”がその背景に潜んでいることも多く、静電気対策の有無が仕上がり品質を左右します。

定期的な点検や帯電量の測定、作業環境のモニタリングを習慣化することで、トラブルの“芽”を未然に防ぎましょう。

🔍静電気対策で印刷品質を一段階レベルアップ!

  • 静電気は印刷不良の“隠れた原因”のひとつ
  • 色ムラ・紙送り不良・インク飛散など、様々な不具合を引き起こす
  • 湿度管理・帯電防止剤・イオナイザーなど、多角的な対策が有効
  • 静電気対策は、品質管理・生産性・安全性の3要素を向上させる

印刷の現場では、ほんのわずかな“電気”が、大きなコストと時間ロスにつながることもあります。
だからこそ、静電気対策はコストではなく“投資”と捉え、積極的に取り組んでいきましょう。


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