塗布型帯電防止剤(表面処理型)とは?
即効性と使いやすさで選ばれる静電気対策

はじめに

樹脂製品やフィルム製品において、静電気は避けられない問題です。ホコリや粉じんの付着、フィルム同士の貼り付き、さらには電子部品の破壊など、製品品質や作業環境に大きな影響を与えます。

こうした課題に対して有効なのが「塗布型帯電防止剤(表面処理)」です。成形後の製品表面に直接スプレーやコーティングを行うだけで、すぐに帯電防止効果を得られることから、幅広い分野で活用されています。

塗布型帯電防止剤(表面処理型)とは?

  • 成形済みの樹脂製品・フィルムに 直接塗布 する帯電防止剤。
  • 液剤を スプレー・刷毛塗り・ディッピング(浸漬)・ロールコート などで処理可能。
  • 表面に親水性の薄膜を形成し、静電気を逃がす仕組み。

特長とメリット

特長メリット
即効性塗布直後から帯電防止効果を発揮
後処理対応既存の成形品や在庫品にも処理可能
柔軟な適用フィルム・板材・成形品など幅広く使用可能
作業性専用スプレーや簡易設備で施工できる
コスト効率少量使用でも効果が高く、トラブル防止による削減効果も

デメリットと注意点

  • 耐久性の課題:摩耗や洗浄により膜が除去されると効果が低下。
  • 再塗布が必要:長期的な帯電防止には定期的な処理が求められる。
  • 環境条件の影響:湿度や使用環境によって効果の持続性が変動。

➤ 永久帯電防止効果は期待できませんが、一時的な処理・短期用途には非常に有効です。

代表的な用途

①フィルム・シート製品

  • 包装フィルムの貼り付き防止
  • ラミネート工程での加工性改善

②成形品(家電・自動車部品)

  • テレビや冷蔵庫の筐体に付くホコリ防止
  • 自動車内装部品の静電気対策

③電子部品分野

  • 半導体トレーや梱包材への塗布
  • クリーンルーム内資材の静電気抑制

④繊維・衣料関連

  • 作業服やフィルター布への塗布
  • 静電気によるホコリ付着や作業性低下の改善

他方式との比較

項目練り込み型塗布型永久帯電防止
即効性△(加工後に発現)◎(塗布直後)
耐久性
適用対象成形時に限定成形後の既存品にも対応特定分野のみ
コスト低~中
用途包装フィルム、食品容器家電筐体、短期用途、梱包材電子部品トレー、クリーンルーム資材

🔍まとめ

塗布型帯電防止剤は、

  • 即効性が高い
  • 既存製品にも対応できる
  • 作業が容易でコスト効率に優れる

といった特徴から、幅広い産業で利用されています。特に「短期間の帯電防止が必要」「既存製品に後処理をしたい」といったシーンに最適です。

ただし、耐久性や再処理の必要性を考慮し、練り込み型や永久帯電防止との組み合わせも検討することが、効果的な静電気対策につながります。

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