ポリスチレン用練り込み型帯電防止剤の基礎と選び方
成型品の静電気トラブルを防ぐために

はじめに

ポリスチレン(PS)は透明性・剛性・加工性に優れ、食品容器や家電筐体、文具、光学部品など幅広い分野で利用されています。
しかし、その優れた絶縁性が裏目に出て、静電気がたまりやすいという課題を抱えています。

静電気が発生すると…

  • ホコリが吸着して外観不良
  • 微粉塵混入による製品歩留まり低下
  • 表面の曇りや白化
  • 静電気放電による電子部品破損

こうした問題を根本から防ぐ有効な手段が練り込み型帯電防止剤です。今回は、ポリスチレン専用の練り込み型帯電防止剤について、原理・種類・製品例・選び方まで徹底解説します。

練り込み型帯電防止剤とは

練り込み型帯電防止剤は、ポリスチレン樹脂に成形前の段階で均一に混ぜ込み、成形品全体に帯電防止性能を付与する添加剤です。
成型後も性能が持続するため、輸送・保管・使用中の静電気トラブルを長期間防止できます。

ポリスチレンが帯電しやすい理由

ポリスチレンは表面抵抗値が10¹⁴〜10¹⁶ Ω/cm2と非常に高く、摩擦や接触で発生した電荷が逃げにくい性質があります。
成型品同士や輸送中の衝撃で静電気が蓄積し、ホコリ吸着や放電を引き起こします。

練り込み型帯電防止剤は、この表面抵抗を10⁹〜10¹¹ Ω/cm2程度まで下げることで静電気を防ぎます。

練り込み型と塗布型の比較

項目練り込み型塗布型
耐久性高い低い(洗浄で除去されやすい)
工程成型前混合成型後塗布
コストやや高い低い
外観影響種類によるほぼなし
長期性能安定劣化しやすい

🔍まとめ

ポリスチレンは静電気対策が必須の樹脂です。
帯電防止剤を使えば、歩留まりや外観品質の向上につながります。

導入時は、用途に合ったタイプ・濃度・加工条件を慎重に選び、試作評価で最適化することが成功の鍵です。

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